2016年5月5日木曜日

定着検査をリリースしました!

定着検査(ベータ版)をリリースいたしました。スカウターの管理画面にログインしていただくと、資質検査(SS)、能力検査(NR)、精神分析(SB)の右隣に並び「定着検査(TT)」が新たに加わっていることがご確認いただけると思います。
スカウター定着検査は、従業員の定着を促す(離職を減らす)ための心理検査です。従業員の離職リスクを把握し、離職の要因を探り離職防止の対策を立て、定着率を向上(離職率を低減)することを目的としています。

定着検査の考え方

折角、採用した貴重な人材が、たちまち辞めてしまっては、採用活動が台無しです。すぐに辞めずとも、時間とお金をかけて人材を育成し、ようやく戦力化したところで辞められてしまっては、もっと困ります。特に戦力化している人材の退職は経営インパクトが大きく、収益や業務の推進に多大な悪影響を及ぼしかねません。

また、人が定着しない会社は経営が不安定になります。職場で離職が日常的になると、社員のマインドや組織風土は荒み、時に会社は衰退へと向かうことさえあります。頻繁な退職者が出る環境は、ほとんどの場合、何も良いことはありません。

「スカウター定着検査」は、このような従業員の離職問題に焦点を当てています。

社員が会社を辞める理由は様々です。本人に家庭の事情があったり、(恐らく)やりたいことや夢があったり、あるいは本人の能力や働きぶりに問題があるケースもあるでしょう。逆に会社側・マネジメント側に問題があるケースもあります。採用時のミスマッチで、会社と従業員の希望や期待、考え方や価値観が、そもそも折り合いようの無いケースも見受けられます。

とはいえ、断続的に(ひどい場合だと常時)従業員の退職が繰り返されるているのであれば、従業員側の問題ではなく、会社側の問題と考える方が妥当ではないでしょうか。

「どいつもこいつも能力が低い」
「なんで、諦めずにもっと頑張ろうとしないんだろう」
「最近の若者は根性がない」

こういった会社側の意見を聞くことも少なくありません。
しかし、あなたの会社に就職すると人は辞めていく、これが現実であり実態です。雇っても雇っても次々と辞めていく。会社は一つで退職者は多数、「1対多」の関係です。いずれの労働者から見ても、長く勤めるには値せずと判断されているのが真実です。つまり、会社側に何らかの問題があることは明らかだということです。従業員の資質に依存して、定着を期待するのは虫が良すぎるというものでしょう。

能力の高い人を雇えば、見合う仕事を与え、見合う評価をしなければなりません。能力の高い人にとって、その高い能力(または高度な技術や専門知識)を活かせないような、つまらない仕事をさせれば、やりがいを見出せずに辞めてしまいます。高い能力(または高度な技術や専門知識)に見合う評価や報酬がなければ、自己の価値を軽んじられていると感じ、もっと評価してくれる会社を求めて転職してしまいます。

一方で、知名度が低かったり、魅力的な労働条件や世間と比べ十分な報酬を出せない、あるいは他のどんな仕事よりやりがいある魅力的な(または意義のある)仕事を提示できないのであれば、残念ながら能力の低い人しか雇えないでしょう。能力の低い人しか雇えないのであれば、能力の低い人でも仕事をできるように業務を標準化したり、または教育研修を通じて人材育成をする等の経営努力が不可欠です。従業員の能力不足を責めたところで、従業員の能力が高まるわけではありません。雇ったのはあなたの会社であり、能力の低い人でも、仕事ができるように、教育やトレーニングを通じて人材育成に取り組むか、仕事の仕組み化を図るかしなければ、やはり従業員は辛くなって離職してしまいます。

例え社員の能力不足や経験不足だったとしても、結局のところ、採用判断したのは会社側であり、従業員を育てられない・活用できないという人材マネジメントの能力不足と言わざるを得ません。

まして、収益構造が「労働の搾取」に基づくビジネスモデルを展開し、根性論が横行する過酷な労働環境の職場「ブラック企業」では、そもそも人が定着するはずがありません。
(個人的な見解ですが「労働の搾取」型ビジネスモデルでは永続的にビジネスを続けることは困難だと考えています。永続的なビジネスが前提では無い場合、定着率向上という概念自体が意味を成しませんので、当社の適性検査は役には立たないと思います)

いずれにしても、人材マネジメントの問題なのです。

スカウター資質検査や精神分析を活用したり、面接で慎重に慎重を重ねた選考をして人材を採用しても、受け入れ側の人材マネジメントの体制が不十分で退職者を出しまくっているのでは、全く意味がありません。

定着検査は、このような人材マネジメントの問題の解決を目指すものです。

やみくもに定着率向上を目指しても、効果的に定着率を高めることはできません。会社側の問題に起因することなのか、それとも従業員固有の問題なのか、いったい何が問題なのかを知る必要があります。そして、問題がわかった段階で、問題の解決に取り組まなければなりません。問題を放置すると、やがて取り返しのつかないところまで従業員の感情は食傷していきます。こうなると、打つ手はなくなり、あとは離職を待つだけとなります。

定着検査は、打つ手がなくなる前にタイムリーに何が問題か発見するためのツールとなります。昇格・昇給の評価時期に定期面談を実施する会社は多いですが、その際に同時に定着検査を実施し、従業員の心理状態を把握することで、タイムリーな離職対策への対応が可能になります。

年間数回の定点実施で、従業員のストレスをモニターすることは極めて効果的です。もし、定期面談を実施していないのであれば、今すぐ定期面談を実施すべきです。離職者が続出している組織では、コミュニケーションが不十分なケースが少なくありません。コミュニケーション不足は、明らかに管理職の怠慢であり、人材マネジメント能力不足だといえます。

日々の業務でマネジメント側が気づけていない従業員の不満やストレスを、面談を通じて従業員の生の声を聴き、問題を認識しなければなりません。面談者が慣れていない場合や面談技術が不足している場合は、きっかけがつかめず、なかなか上手くコミュニケーションを図ることが出来ないことも多いことでしょう。定着検査は、面談の際のきっかけづくりとなり、面談の視点のヒントとして活用いただけます。


適性検査の評価尺度

定着検査は、以下の5つの視点で従業員の現状分析を行い、従業員の特性と状態を把握し、定着率向上(離職率低減)の施策に取り組むための指標を提供します。
読み解き方の詳細は、利用ガイドの「定着検査の読み解き方」ページをご参照ください。

0. 離職の傾向

「離職リスク度」「定着リスク度」の2つの尺度で、離職の傾向を測定します。「離職リスク度」は、在職中の従業員が離職に至ってしまうリスクの度合いを測定しています。「定着リスク度」は、在職中・離職中に関わらず、職場に定着しにくい度合いを測定します。


1. 離職ストレス要因

「仕事の質」「仕事の量」「仕事の適性」「自己の成長」「顧客との関係」「職場の人間関係」「自分への評価」「環境の変化」「将来性」「雇用の安定性」等、在職中の労働者が離職に至る原因となる職場のストレスの主要10項目のストレス(不満)状態を測定します。


2. ストレス感受性

「シャイネス」「悲観主義」「完璧主義」「攻撃性」「非合理性」等、物事や出来事、おかれた状況や他者の行動等から、自己に対する否定的側面を過度に認識し、自らストレスを生じさせてしまう特性の度合いを測定しています。

3. ストレス習慣

「自責」「希望的観測」「回避」等、ストレスが発生した際に、ストレスを増幅してしまう思考・行動パターンの習慣化の度合いを測定しています。

4. ストレス対処スキル

「問題解決行動」「積極的認知対処」「援助の申入れ」等、ストレスが発生した際に、ストレスの悪影響を軽減したり・解消したりする努力の度合いを測定しています。

5. 対話スキル

「傾聴スキル」「自己主張スキル」「葛藤対処スキル」等、継続的で良好な人間関係を築くためのコミュニケーション能力を測定しています。



適性検査の概要と利用料金

1.設問数と受検時間

設問数は択一式100問(5択式)で、平均回答時間は約7分です。

2.受検方法

受検方法は、WEB受検と紙の設問冊子受検の両方に対応しています。
設問冊子受検は、普通紙回答用紙/マークシート回答用紙の両方に対応しています。

①WEB受検の場合
受検者登録の際に、適性検査の選択で「定着検査」のチェックボックスを選択して、受検者登録して頂ければ、定着検査を受検できるようになります。
▼WEB受検の手順
https://scouter.transition.jp/help/exam-web

既に他の適性検査を受検済みの受検者に、追加で定着検査を受検させたい場合は、[すべての受検者]画面で、対象の受検者を選択し、画面右側に表示される詳細欄の「定着検査」のチェックボックスを選択して[保存]ボタンを押下してください。受検者に再度案内を送信する際は、[受検待ち▼]メニューで[受検パスワード送信]を実行してください。
▼受検者情報編集の手順
https://scouter.transition.jp/help/exmanage-examinee-editing


②紙冊子受検/画面入力方式の場合
設問冊子(PDF)は、管理画面上部の[ダウンロード▼]メニューの[設問冊子:定着検査]を押下してダウンロードしてください。設問への回答は、設問冊子末尾の「普通紙 回答用紙」に記入頂きます。回収した普通紙 回答用紙」の回答を、管理画面より貴社にてご入力頂きますと適性検査結果をご覧頂けます。回答の入力は[受検待ち▼]メニューの[設問冊子回答を手入力]画面より行ってください。
▼紙冊子受検の手順
https://scouter.transition.jp/help/exam-input

紙冊子受検/マークシート回答方式の場合
あらかじめマークシートをご購入下さい。定着検査は新版マークシートのみ対応しています。旧版マークシートには対応しておりません。新版と旧版の判別方法は、マークシート紙面の「100問用 回答欄」の有無により見分けられます。「100問用 回答欄」があるマークシートが新版マークシートです。
実施方法は、上記の②と同様に、定着検査の設問冊子を管理画面からダウンロードして、適性検査を実施頂き、記入済みのマークシートを弊社スカウター分析センターにご送付ください。
※マークシート受検については、100問用の回答欄を使用するため、精神分析と定着検査を併用してマークシートに回答することはできませんので、あらかじめご注意ください。

3.利用料金

1名あたり540円(税込)で1名からご利用頂けます。月額費用や管理料等の固定費は一切ありません。
「開封割引チケット」もご利用頂けます。ご利用人数が180名を超える場合は、割引チケットのご利用がお得です。割引きチケットの料金表は、スカウターWEBサイトの料金プランのページをご覧ください。
料金プラン/割引チケット料金表はこちら
https://scouter.transition.jp/price#discount


適性検査の活用方法

離職するかもしれないリスクのある従業員を早期に発見し、離職防止対策に取り組むための適性検査ですので、基本的には、在職中の従業員を受検対象としています。定期面談等とあわせ、年に1〜2回程度の定期的な受検がおすすめです。個人面談時の補助ツールとして、ご活用いただけます。

定着検査の評価尺度のうち「4.ストレス対処スキル」と「5.対話スキル」は、トレーニング等で後天的に身につけることができる「技術」の習熟度・習慣度合いを測定しています。例え現在の得点が低くとも、研修やトレーニングを通じて向上させることが可能です。中・長期的な定着率向上の観点から、人材育成の重要な指標としてご活用頂けます。

また「2.ストレス感受性」や「3.ストレス習慣」は、資質的な傾向が強い特性だといえます。先天的なものか又は幼少期の環境要因であるのかは断定できませんが、固有の認知パターン思考パターンが本人の基本特性として強く機能しています。ある種の性格・人格のようなものとして固着しており、一朝一夕で変えられるものではありません。

しかし、「4.ストレス対処スキル」と「5.対話スキル」のトレーニングを通じて、時間はかかりますが、思考習慣をの変革を促すことは可能です。「コーチング」や「セルフアサーション」「アンガーマネジメント」「ストレスマネジメント」といった技術のトレーニングが効果的です。

「2.ストレス感受性」や「3.ストレス習慣」の状態が好ましくない状態であったとしても、長期的な人材育成が可能な環境であれば、改善できるものだといえます。組織力が強い会社は、こういった人材育成を実践している会社であることが多いようです。昨今では、こういった分野の能力を「ソフトスキル」と呼び、大手企業を中心に研修を実施ている会社も増えています。

原則として従業員向けとは申し上げましたが、採用選考時にもご利用いただけます。
例えば「0.離職の傾向」の「定着リスク度」で、定着しにくい人物なのかどうかを簡易評価することができます。また「2.ストレス感受性」や「3.ストレス習慣」の各項目を見れば、応募者のパソナリティや行動特性のどのような点において、職場に対し不満やストレスを抱きやすいかを知ることができます。さらに「4.ストレス対処スキル」や「5.対話スキル」を見ることで、入社後に新しい職場環境や新しい人間関係に、適応しやすいかどうかを知ることができます。これらの評価項目を採用選考時に活用することで、採用段階から入社後の離職率を低減(定着率向上)を図ることができます。

極端に能力が低い、または極端に人格に問題がある以外の人材であれば、組織として人材育成できることが望ましいと言えます。しかし「2.ストレス感受性」や「3.ストレス習慣」は先天的要素が強く、常にケアしなければならず、関わり合いに相当の時間と忍耐強い努力が必要となります。キャパシティの小さい組織やマネジャーにとっては、この労力は相当の負担になり、マネジャー側が疲弊する危険性もあります。人材マネジメントの負担を軽減したいと考える場合は、やはり採用選考の段階で「2.ストレス感受性」や「3.ストレス習慣」の得点の低い人物を選んでおく方が望ましいでしょう。

応募者の視点から見れば、「2.ストレス感受性」や「3.ストレス習慣」の得点の高く繊細な人は、人材マネジメントの能力やキャパシティの低い組織に入社しない方が不幸にならずに済むともいえます。お見合いの段階で、別れておいた方がお互いに幸せかもしれません。

採用選考時にでご利用いただく際は、「0.離職の傾向」の離職リスク度と、「1.離職ストレス要因」は該当しませんのでご注意ください。これらは、在職している会社についての分析結果ですので、採用選考時の人物評価には適用できません。



現在はベータ版のため、適性検査結果レポートは人事担当者向けのものしかご用意できておりません。ベータ版終了時には本人返却用の適性検査結果レポートをご用意する予定ですので、今しばらくお待ち頂ければと思います。

定着検査が、皆様の会社の定着率向上につながれば幸いです。

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